東証プライム市場

2023年7月12日の日本経済新聞朝刊1面に「プライム離脱、48社意向」という記事がありました。

東証プライム市場とはそもそもどのようなもので、いま何がおこっているのか を私なりにまとめてみます。

東証プライム市場 離脱48社意向

旧東証1部で基準を満たせていない企業も、経過措置として猶予期間の間、プライム上場維持が認められています(現在269社/1,838社)。

猶予期間の期限は、3月決算企業においては2026年3月末時点。このときまでに基準を満たせなければ監理銘柄に指定され、最短で2026年10月にも「上場廃止」になります。

ただし、2023年4月から6カ月間(2023年9月まで)は「無審査でスタンダード市場に移れる」という「特例措置」があり、足元の動きは、プライム維持に努めても基準を満たせず上場そのものが難しくなるより、いまスタンダードを選ぶことで将来の上場廃止は免れたい企業などが移行を申請しているようです。

さて、そもそも東証プライム市場とは?

東証は2022年4月に市場を再編し、市場区分を(プライム、スタンダード、グロース)3つとしました。その中の最上位市場を「プライム」と位置づけ、海外投資家からも魅力的に映る企業となることをコンセプトに高いハードルの上場基準、上場維持基準を設けています。 

東証プライム市場の高いハードルとは?

東証プライム市場に上場するためには、流通株式時価総額が100億円以上、時価総額250億円以上、流通株式比率35%以上、純資産額50億円以上、最近2年の利益が25億円以上 などの高いハードルの上場基準を設けています。また上場維持基準も上場時の基準とほぼ同じに設定されています。

東証プライム市場のメリット

1つは、東証プライム市場の上場企業はこのような厳しい基準をクリアしているため、投資家や経営者から高い評価を得るひとつの方法となっています。国内外での知名度の向上や海外投資家の呼び込みなどを目的に、東証プライム市場への上場を目指す企業もあります。

2つめは、東証プライム市場に上場すると株価上昇が見込めるのもメリットです。東証プライム市場に上場するとTOPIX(東証株価指数)に採用され、TOPIXに連動するインデックスファンドなどからの買いが発生する可能性があるからです。

東証プライム市場のデメリット

メリットもある一方、市場最上位の優等生として、いろいろな条件が各所から求められており、これに対応する手間やコストそもそも各所要求が会社方針と合わないケースがデメリットになります。

1つめは、開示。

海外投資家からも魅力的に映る企業となることをコンセプトにしているため、①英語での情報開示が促進されている他、②気候変動に関する事業リスクの開示義務があります。また、➂東証から企業経営者に株価を意識した経営を求める通知がなされ、継続的にPBRが1倍を割れている会社には、改善策の開示を強く要請されています。

2つめは女性役員2030年 30%問題です。

政府は東証プライム上場企業に、2025年をめどに女性を役員に1人以上選任し、2030年までに女性比率を30%以上とする目標を「女性版骨太の方針2023」に明記。東証の規則に女性登用の目標や企業の行動計画策定を規定し、企業には達成に向けた行動計画の策定を促すよう働きかける、としています。(ちなみに東証プライム上場で取締役、監査役、執行役に女性がいない企業は22年7月末時点で18.7%。30%を超える企業は2.2%)

今後も東証プライム市場をめぐる動向に注目していきたいです。  代表社員 西村強

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