話題の大会の契約書

話題の大会の契約書

 会計士という仕事上、日常から多くの契約書を目にする機会があります。売買契約書、不動産賃貸借契約書、請負契約書など様々な契約がありますが、その契約の内容により取引のリスクや責任を明確にする役割がありますが、会計分野においても会計処理を決定したり、適時開示が必要な事項の情報を確認するために契約書は非常に重要です。

 当ブログを執筆している時点では、2021年7月に開催が予定されている東京オリンピックですが、オリンピックの開催について契約関係が興味深いものでしたので、ご紹介したいと思います。

 オリンピックの契約について東京都オリンピック・パラリンピック準備局のホームページに「開催都市契約書」が開示されています。

 契約当事者は、東京都、公益財団法人日本オリンピック委員会(JOC)、国際オリンピック委員会(IOC)の三者契約となっています。

なお、契約書本文では日本オリンピック委員会をNOC、オリンピック大会組織委員会をOCOGと記載されています。

 契約書序文に「オリンピック憲章に基づき、IOC は、オリンピック・ムーブメントの最高の権威で あって、これを主導し、また、オリンピック競技大会は、IOC の独占的な財産で あって、IOC はこれに関するすべての権利とデータ(特に、組織、運営、利用、 放送、記録、表現、複製、アクセス、流布に関する、あらゆる形態、手法または メカニズムのすべての権利であるが、これらには限定されるわけではない)を、 既存のものか将来開発されるものかを問わず、全世界を通して永続的にこれを所有する。」とありますので、すべての権利はIOCにあることが記載されています。

 基本原則に「IOC は、本契約にて、開催都市および NOC に、本大会の計画、組織、資金調達および 運営を委任し、開催都市および NOC は、オリンピック憲章および本契約の規定を遵守してその義務を履行することを約束する。それらの規定には、~以下略」と記載されておりますので委任契約に分類されると考えられます。

東京都とNOCはIOCから大会の運営を任されているということになりそうです。資金調達まで契約に記載されているのは意外ですね。

他にも興味深い条項をいくつかご紹介します。

【IOC に対する請求の補償と権利放棄】

 「開催都市、NOC、および OCOG による補償:開催都市、NOC、および OCOG は、IOC、 IOC テレビジョン・アンド・マーケティング・サービス SA、第 54 条 a)項にて詳細が定められるオリンピック放送機構(OBO)、およびその役員、メンバー、理事、従業員、コンサルタント、代理人、弁護士、 受託者とその他の代表者(以下、「IOC 被補償者」という)を、以下の事項に起因して、直接または間接を問わず、IOCが被るすべての損害、申し立て、訴訟、損失、費用、支出および/ またはあらゆる性質の責任から、常に補償し、防御し、かつ害が及ばないようにし、また免責する。」(一部本文より抜粋)

【税金】

「 IOC または特定の第三者が受取る支払い:開催都市および/または OCOG は、そ れらが源泉徴収税、関税、付加価値税、その他の間接税であるかにかかわらず、 また現在あるいは将来のものであるかにかかわらず、本大会に関連して生じた 収益に関して、~(略)~いかなる管轄地 域におけるものであるにせよ、納めるべき税金(直接税および間接税を含む) をすべて負担するものとする。」

【剰余金の分配】

本大会開催の結果として生じた剰余金があれば、以下のとおり配分するものとする。
a) NOC に20%
b) OCOG に60%。NOC と協議のうえで OCOG が決定する開催国におけるスポーツの 全般的利益のために使用することを目的とする
c) IOC に 20%

【放送契約】

「本大会、ならびに本大会に関するプログラム、セレモニーおよびイベントは、IOC の 独占的財産であり、IOC は、それらに関するすべての権利およびデータ(特に、既存 の、あるいは将来開発される、あらゆる形式およびあらゆる手法またはメカニズムによる、利用、放送、記録、表示に関するすべての権利が含まれるが、これらには限定されない)を保有する。」

【予測できない、または不当な困難】

「本契約の条項により、OCOG に影響する本契約の締結日には予見できなかった不当な困難が生じた場合、OCOG はその状況において合理的な変更を考慮するように IOC に要求できる。ただし、当該変更が、本大会または IOC の何れに対しても悪影響を与えず、 さらに当該変更が、IOC の行使する裁量に委ねられることを条件とする。IOC は、当該変更につき考慮、同意または対応する義務を負わないことが理解され同意されている。」とあり不測の事態には変更などができる旨の内容がありますが、東京都及びNOCからはIOCに要求できるという内容に留まっています。

 税金や剰余金の分配など会計に関する条項を中心にご紹介しましたが、契約書にはほかにも聖火や選手村に関するものなどオリンピックに関することが細かくて定めれています。

 興味のある方は契約書を読んでみてはいかがでしょうか。 (原田 礼造)

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