先月、大相撲の観戦に行ってまいりました。大阪在住の私も毎年3月に大阪場所が開催されているのは知っておりましたが、実際に観戦したのは初めての事で、よく考えてみると大相撲自体は良く知っているにも関わらず、組織や運営の仕組みをよく知らないことに気づきました。今回は大相撲について記載してみました。(相撲は神事であることは承知しておりますが、経済的な観点から考察いたしますので、大変失礼ながらスポーツやイベントに照らした記載となることをご容赦ください)
【相撲と大相撲の違い】
相撲は日本の伝統的な神事の総称であるのに対し、大相撲は日本相撲協会が主催するプロの興行を指します。そのため日本全国で様々な相撲大会が開催されますが、大相撲だけがプロの取組(試合)となります。
相撲の主催には様々な団体が主催しており、主要な団体は以下のとおりです。
日本相撲協会:大相撲を主催
日本相撲連盟:アマチュア相撲大会を主催
国際相撲連盟:相撲の国際大会を主催
日本女子相撲連盟:女子相撲の大会を主催
西日本実業団相撲連盟:西日本の社会人(実業団)で開催される大会を主催
普段テレビ等でみられる大相撲は日本相撲協会が主催されており、他の相撲大会とは全く別であることがわかります。なお、日本相撲協会は公益財団法人のため、事業のうち非営利事業に法人税法上は非課税となり営利事業のみ法人税の課税対象となっています。
では大相撲どの程度の市場規模のイベントでどのように運営されているのでしょうか。
日本相撲協会では決算書が開示されており、貸借対照表、正味財産増減計算書の令和6、7年度は以下のようでした。

上記の貸借対照表を見ると借入金がなく、主要な資産も土地、建物、現金預金で構成され、また潤沢な正味財産が計上されており健全な運営であることが確認できます。
正味財産増減計算書を見ると、事業収益が約150億円もあり、上場企業規模の売上があることがわかります。他のスポールの例としてJリーグの人気球団浦和レッズの売上高が100億円規模とされておりますので、年6場所の開催と地方巡業の回数を考えるとかなりの人気と収益性が伺えます。費用面では事業費の概ね半分が給与手当等の人件費が計上されています。管理費についても給与手当等の人件費が全体の多くを占めています。また、普通の事業会社ではまず見かけない力士奨励金、力士等養成費などが計上されています。
ここでなぜ人件費が多く計上されているか気になって調べてみますと、日本相撲協会と各相撲部屋の運営体制が独特な関係で連携していることがわかりました。実は力士の給与は日本相撲協会から支給されています。この点プロ野球やJリーグの選手等は所属する球団から報酬が支払われることと大きく異なります。
参考までに横綱の給与は月給300万円、大関250万円、十両110万円とされているそうです。これに各場所での取組により懸賞の獲得や賞を受賞すると加算されるような報酬体系になっているようです。幕下以下は給与が出ませんが、場所毎に場所手当が支給されます。(上記の正味財産増減計算書で力士奨励金がそれに該当します)
他にも正味財産増減計算書に計上されている力士等養成費という費用は、幕下以下の力士が所属する相撲部屋に対し、食費や生活費を補助するために1人あたり月額7万円が支給されるというものです。この他、部屋維持費、稽古場維持費の名目で支給がありますので、相撲部屋は幕下力士の1人に対して日本相撲協会から年間180万円程度が支給されることになります。
これらの制度から相撲部屋で必要な人件費等を日本相撲協会が負担している関係にあり、会計でもその状況が現れていいます。また、この制度があるため各相撲部屋は力士の育成に注力できているとも言えるかもしれません。
ちなみに、所属する力士が出世して関取になった場合、相撲部屋は支給されていた力士養成費が支給されなくなり、相撲部屋の運営が厳しくなるのではと思われるかもしれませんが、そこはタニマチと呼ばれるスポンサーがつくことになり、相撲部屋にはスポンサー料、寄附金が集まり相撲部屋の収入は増えることになるようです。やはり強く人気のある力士を育成するのが良いようですね。
今回は大相撲の運営について記事にしてみました。
原田 礼造